第5期講座

テーマ:
生きるための知
日程:
2005年9月10日〜2006年7月22日
会場:
私立麻布学園
講義タイトル・日程 講師 書籍情報

講義録をもとにできた本の情報です。PHP研究所筑摩書房ポット出版から刊行。

IT社会は人間をどう変えるか
 (1) 2005/9/10 (2) 9/24 (3) 10/8
西垣 通 PHP新書から刊行予定
なぜ言葉は通じないのか
 (1) 2005/10/29 (2) 11/12 (3) 11/26
小浜逸郎 書名  言葉はなぜ通じないのか
 PHP新書 735円(本体700円)
Google検索結果へ
誰と生きていくのか
 (1) 2006/2/4 (2) 2/18 (3) 3/4
伏見憲明 書名  欲望問題
 ポット出版 1,575円(本体1,500円)
Google検索結果へ
大人は若者に何を伝えるべきか
 (1) 2006/4/22 (2) 5/13 (3) 5/27
苅谷剛彦 PHP新書から刊行予定
ホントは使えるヘーゲル
 (1) 2006/6/3 (2) 6/24 (3) 7/8
竹田青嗣 ちくま新書から刊行予定
シンポジウム
「寂しい日本の私
─つながりを求めて」

 2006/7/22
パネリスト
山田昌弘、滝川一廣、伏見憲明、小浜逸郎
司会
林知輝(PHP研究所編集者)

第五期ご挨拶

 2001年にスタートした思想講座「人間学アカデミー」は、ここに第五期を迎えることになりました。第四期までに参加してくださった受講生のみなさん、講義を快く引き受けてくださった講師の方々、また有形無形の支援を惜しまず提供してくださった麻布学園関係者その他の方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。講義の新書化も順調に進み、すでに第一期講義をもとにした本がちくま新書より五冊、第二期、第三期講義をもとにした本がPHP新書より三冊刊行されており、今後も続々と刊行される予定です。

 さて第五期では、「生きるための知」をメインテーマとしたいと思います。

 <知>というのはもともと何のためにあったのでしょうか。私たちがよりよく生きていくのに役立つためであったはずです。言葉や情報は、人と人との間を取り持ち、それぞれの生をもっと豊かなものに発展させていく役割を背負っています。ところが、現代文明社会はきわめて複雑高度なものになり、その結果私たちはあまりのほほんと平穏に生きていくわけにはいかなくなりました。情報の洪水に翻弄され、何を適切な知として選択してよいのかわからなくなっています。メディアはスピード競争に明け暮れて深く考えさせる余裕を与えませんし、細分化したアカデミズムは一般の人々の意識とは乖離してその有効性が疑われています。IT社会の到来を手放しで喜んでいいのかどうかにも不安が伴います。教育の世界もかつてないほど混乱しており、後続する世代にうまく文化伝達を果たすことができるかどうかが危ぶまれます。

 また日常生活では、個人間で過剰に繊細な摩擦や葛藤が繰り返されるいっぽうで、多くの人がままならぬ孤独感を深めているように思われます。高齢化を突き進む日本の社会は、私たちの生き方をどのように変えるのでしょうか。

 今期の講座では、以上のような問題意識にもとづき、IT社会の功罪について深い考察を重ねてきた情報学の専門家、ゲイとしてエロス的な実存のあり方を追求してきた作家、現代教育の問題点を鋭く指摘してきた社会学者、西欧近代哲学の有意義性の復活に情熱を燃やす哲学者の方たちをお招きして、<知>と一人一人の生き方とのかかわりについて考えてみたいと思いました。どうぞふるってご参加下さるようお願い申し上げます。

2005年6月
小浜逸郎

第5期シンポジウム 感想

*1. いろいろ問題点があって、勉強になること多々ありました。
2. シンポジウム4時間は長い、と最初感じていたが、濃密な論議で短く、感じました。
3. 今後の人間学アカデミーの充実に期待したい。
[三村哲さんの感想]

*o 山田先生の社会学データにけっこう驚いた。まだまだ知らないことが多いと実感した。
o 今の日本における晩婚・少子化のメンタリティ的な部分が先生方のお話を聞いてなんとなくイメージ的につかめた気がする。
o 伏見先生の「更年期になるにしたがい正気になる」という表現はたいへん面白く分かりやすかった。
[カッツーさんの感想]

*小浜さん、山田さんの議論に滝川さんのほんわーかした口調の指摘と伏見さんの鋭くてトリックスター的な役割を意識した発言が入って、暗くなりがちな話も楽しく聞かせていただきました。いわば、小浜さんと山田さんが、ご飯とウナギ、滝川さんがおいしいタレ、伏見さんがピリッとした山椒で、なかなかウマいウナ重をいただいた感じがありました。

非婚、晩婚化や熟年離婚について私が思ったのは、日本社会は、未だカップルカルチャーを作り得ておらず、これを作る必要があることです(作ろうと思って作れるものではないかもしれませんが、何か手はあるはず)。バチェラーカルチャーの社会が見合い制度や世間の目を失うと、非婚率はどうしても上がるでしょう。韓国の非婚率の高さもそのことを示しているのではないでしょうか。と言っても、欧米型カップルカルチャーのマネをしてもダメでしょうから、オリジナルなものを。
[織田孝一さんの感想]